https://blueberrytaisa.hatenablog.com/

底辺ナースすっとばす

10数年ナースとして働き、現在大学院在学中です。ワーキングホリデー経験、元バックパッカー。仕事、日常、旅行などを中心にまとめています。少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです!

山谷ボランティア体験記②

再度山谷へ

 路上生活者を支援しているNPO法人の活動に参加させてもらうべく、再び山谷に赴いた。最寄りであるJR南千住駅から歩いて山谷まで向かう。駅周辺はどこにでのあるような住宅街であるが、少し歩くと簡易宿泊所や労働福祉センターなど周辺の街にはない雰囲気を醸し出す一角がある。ここがいわゆる山谷地区である。

 実は山谷という名称は現在公式には使用されていない。現在、かつての浅草山谷1 - 4丁目は現在の清川・日本堤の全域、および東浅草2丁目に該当しており、通称として「山谷地区」と呼ばれている。(Wikipedia 参照)

 今回のブログは私の完全な主観を交えて記しているため、一般的に当てはまるものではないことを最初に断っておきます。

f:id:blueberrytaisa:20200906165339j:image

 

今回の業務内容

 今回、お世話になったNPO法人では通常、訪問看護デイケアサービスを行なっているが、第1・3土曜日は地域の住人(路上生活者、簡易宿泊所入居者、その他)を対象として喫茶・お風呂提供サービス・カラオケ大会・衣類やお菓子の提供などのイベントを開催し、路上生活者同士が情報交換できる場所を提供している。しかし、新型コロナウイルスの影響で、現在は喫茶形式でのイベントは開催できず、お風呂・衣類・散髪・お菓子の提供のみ行っているとのことであった。

 会場に到着後挨拶を済ませ、会場の設営を行った。感染症の伝播予防のため、椅子や机などの配置にも気を遣う。そうこうしている内に、開場の前に住人が行列を作り始めた。主催者によると、イベントにやってくるほとんどの人が路上生活者だという。我先にと入場してくる人々を静止し、検温・受付、お菓子券の配布、入浴・散髪の予約を行う。

 各スタッフの業務は受付・誘導・検温・お菓子配布・衣服提供・散髪係であった。私は検温と散髪の業務を主に行った。ある程度住人が帰宅すると、会場の清掃を行い、全体ミーティングを行った。ボランティアに参加した人の内訳は団体の職員・地域の住人・私のような野良ボランティアなど様々な方が参加していた。

f:id:blueberrytaisa:20200906165408j:image

 

イベントの参加者の雰囲気

 来所された参加者の年齢は40〜70歳代で主に高齢な方が多かったように思う。会場に入るなり風呂に突入する方、衣服を求める方、椅子でゆっくりする方、スタッフとお話する方、袋(しっかりした袋)を求める方など様々であった。私の主観的な印象であるがほとんどの方が優しく、礼儀正しい方であった。稀に指示に従わない方もいたが、基本的に傾聴する姿勢で対応しトラブルなどはなかった(私自身このような方への対応方法については西成で身につけたため、ある程度訓練が必要であるように感じた)。総じて前回のボランティアで体感したように一般社会の方々と同じようなオッチャンであった。むしろ、人懐っこさなどあり、概ね好印象であった。

 

職員の方のお話

 参加されていた団体職員の方々から色々お話を伺うことができ、山谷の現状をいくらか垣間見ることができた。以下、お話の内容を簡潔に記す。

  • 喫茶形式のイベント開催が困難になり、参加者が減少している。それでも、参加してくれる方々のためにもイベントを中止することは考えていない
  • 新型コロナウイルスの影響で、各団体がpう事業は縮小さざるを得ず、路上生活者の生活や健康問題に何か悪影響が起きる可能性が懸念されたが、現場感覚ではそれらの悪影響は感じることができない。
  • 感染対策を守りながら、これまで通りの支援を提供していくことが必要である。イベント開催にあたっては、支援する側だけでなく、参加者側の感染対策への協力が必要であるが、参加者に感染対策を守ってもらうことが難しい場面がある。今回の、イベントの合間にもソーシャルディスタンスの保持、手指消毒の徹底などの課題が散見された。人手は足りないので協力してくれるボランティアの存在はありがたい。
  • イベント参加者に感謝されたくて事前活動を行っているのではなく、我々も楽しいからこのような活動を行っている。

f:id:blueberrytaisa:20200906165423j:image

 

感想とかこれからの課題とか...

 路上生活者を対象としたイベントに参加し、職員の方やイベント参加者の方々とお話することができた。新型コロナウイルスコロナの影響で何かしらの健康問題が発生しているのではないかと考えていたが、現場レベルの感覚においてはそこまでの危機感は持っていないということは意外であった。そもそも、路上生活者にとって世間の大きなニュースは彼らの耳に入りにくいし、気質的に社会のルールを守ることが難しい人もいることを理解しておく必要がある。

 では現状の支援において上手くいっていることは何であろうか?団体の職員様のお話ではこれまでの活動は路上生活者にとってニーズがあり、新型コロナウイルスの影響で支援が中止になった時には、再開を望む声があったという。このことから、路上生活者を対象とした支援はこれまで通り継続していくことが必要ではないかと考えた。

 さらに、今回出てきた疑問として、簡易宿泊所に入居している生活保護受給者は新型コロナウイルスの影響によって健康問題は発生していないのかと考えた。仮に、生活保護を受給していれば一定の収入があるため、失業し収入がなくなった方々(例えば非正規雇用労働者やネットカフェ難民など)と比べ、さほど生活に支障は出なかったのではないのであろうか。この辺りは更なる調査をしていくこととする。

 さて、各支援の継続が必要ではあるが、コロナ禍の中でのイベントの開催にはある程度の配慮が求められる。例えば、イベント開催時のソーシャルディスタンスの保持・手指消毒の徹底などの感染対策の周知徹底、イベント運営人員の確保、必要な物資の取得などの課題があるのではないかと考えた。イベント終了後の全体ミーティング時に、お店のレジ前にあるような床に印などをつけてソーシャルディスタンスの保持を行って頂いてみてはと提案したみた。次回参加した時に今回考えたことを実行してみようと思う。

f:id:blueberrytaisa:20200906165440j:image