社会のマイノリティーを気にすること
社会の中の少数派(マイノリティー)
私たちの生活する社会には様々な人々が暮らしています。メディアなどの媒体では多数派(マジョリティー)である集団のことを対象に取り上げることが多いと思います。そのため、私たちは少数派(マイノリティー)の集団のことを知る機会は少ないです。
社会の中のマイノリティーにはどのような集団がいるのでしょうか?
私が考えるマイノリティーの集団を列挙します。
①生活保護受給者
②在留外国人
③母子(父子)家庭
④何らかの障害を持った方
⑤大規模災害による被災者
⑥虐待を受けている子供
⑦高齢独居世帯
社会的弱者って
①〜⑦の集団は「社会的弱者」と呼ばれることが多いです。そして、様々な要因のために、社会から孤立した存在になりがちです。孤立は様々な健康問題を誘発し、健康格差を拡大させることにつながります。孤立を防ぐために、地域に住む我々ができることを考えていかなければならないのではないでしょうか。
さらに、彼らに対して「社会的弱者」という安易なレッテル貼りは危険です。このような決めつけは差別や偏見を生み出す原因となります。私も昔は「生活保護は悪、若くて働けるのに働かないやつはダメだ」と決めつけ、一種の偏見を持っていた時期がありました。言い換えれば、彼らは個人の責任で、マイノリティーの集団に存在すると決めつけていました。
近年の社会疫学研究において、生活保護といった社会的弱者は個人の要因よりも社会環境の要因が大きく関わっていることが分かってきました。すなわち、周囲の環境が人の健康行動と関係しており、結果的に所得や病気の発生率、死亡率の増加に関与しているということです。
これから私たちができること
そのため、問題を抱えた集団に対するハイリスクアプローチも重要ですが、社会全体の生活環境を整えていくことが有効ではないかと考えます。マイノリティーの集団だけでなく、社会全体にアプローチしていくという考えが必要になります。社会全体が関わる政策、例えば小児の医療費無償化などが分かりやすい例だと思います。小児の医療費無償により、貧困層などの健康ハイリスクの集団は病院へのアクセスがしやすくなります。結果として、社会からの孤立を防ぐことにつながり、子供の健康悪化を予防することができます。
こういった社会全体へのアプローチを行うことで、医療者や地域の専門家は彼らを注意深く観察し、少しでも異変を探る機会を持つことができます。必要と判断すれば、彼らに対して訪問相談などの追加のアプローチをすることが可能となります。このような、アプローチの手法をこれから学んでいくことが必要だと考えます。